人のいいところを真似するのをいやがる人がいます。人真似はいけないと思い込 んでいるかもしませんが、実際にはそんなことはありません。いかに早く人のい いところをとり入れられるかで、あなたの価値が決まるといってもいいのです。 ある有名女性(注1)キャスタ-が、とても興味深い話をしていました。それは彼女がまだ新人の頃のこと。(注2)プロデュ-サ-に見せられたビデオに、 ニュ-ヨ-クの女性(注3)ホ-ムレスを取材している(注4)レポ-タ-の姿が映っ ていました。 ビヂオ見ながら、プロデュ-サ-は、彼女にこういいました。 「君とこのレポ-タ-の違いは、カメラマンとの位置関係だ。君はいつもカメラ マンの(ア)にいるが、{1}この女性はカメラマンよりずっと(イ)にいる」 ここでプロデュ-サ-がいいたかったのは、「{2}自分の視点を持て」ということだ ったのです。自分なりの視点があれば、カメラマンよりも先に、自分の行きたいほ うへ行く。自分の視点がないからいつも、カメラマンに遅れをとってしまう。そう いうことなのです。 新人だった彼女は、それ以来自分は何がおもしろいと思うのかを考えて、ケメラ マンより(ウ)に行くようにした。それは、女性レポ-タ-の真似だったのです。彼女は「真似」という言葉は使わなかったのですが、結局的には真似をしたのと同 じです。 真似は形から入って、精神的なところに到達する方法です。レポ-タ-とカメラ マンとの位置関係だけを見れば、形だけの真似 になるでしょう。でも、自分がおも しろいと思うほうに動くことで、形だけではなく、精神的なレベルになります。 最初はよくわからなくて、形だけ真似するのでもかまいません。真似しているう ちに、その行動がどういう意味を持っているか、何が大切なのかがわかってくるか らです。
(赤羽建美『なぜか必用とされる女性 50のル-ル』による)
(注1)キャスタ-:テレビのニュ-ス番組で報道や解説などをする人
(注2)プロデュ-サ-:テレビ番組の制作を指揮する人
(注3)ホ-ムレス:住むところがなくて公園などで生活する人
(注4)レポ-タ-:テレビ番組などで現場から報道する人